雨の降らない国の王女さま
<ストーリー>
プロローグ
〜そのもの草色の鎧を羽織りて乾きし大地に降り立つ
強欲がゆえ全てを求め 傲慢がゆえ全てをてにいれた
されど そのもの満たされることをしらず
愛知らぬゆえの悲しき定め …
そのもの堅牢なる漆黒にとらわれ一歩たりとも外へ出ること叶わず
しかしその心、大空より広く、羽を生やし飛び回る
後に曰く、「如何なる牢にも捕らわれぬ一羽の鳥あり」 〜
「昔昔、雨の降らない国に、王女様がおりました……
王女にはお友達がおらず、窓から砂漠を眺める毎日を送っていました国中でもちきりになってるある噂が、彼女の耳に入ってきます
この砂漠の向こうには、水の溢れる国があるらしい
そこでは人間はみな、水の取り合いをして争うことが無く、平和な世界が広がっている
過去にいくつもの探検家が探しに向かったが、帰って来た者はいなかった
ただその水の豊かな国にいくためには昼は灼熱夜は極寒の砂漠をわたらなければいけない
「あるところに水の豊かな町がありましたそこではある噂が飛び交っています
この国から遠く向こうには、水の無い世界が広がっているらしい
そこには、世界中からキャラバンが集めた金銀財宝、香辛料が豊かにある
外の世界を見たいものへ」という張り紙を見た若者がおりました
こうして水の街はどこにあるかもしれない金銀財宝の溢れるの町へと多くの若者を送りだしました
砂の町では、カエルを『アメフラシ』と呼び、雨を降らせる神として崇めていました
(砂漠の盗賊;金銀財宝……おもしろそうだな
なるほど姫の背中に描かれたタトゥーが宝のありかをあらわしているわけだ・・・姫をさがせええ)王宮には古代から伝わる、アメフラシをモチーフにした鎧の財宝が保管されています
これは、砂の町の王の証であり、先祖代々守りとおされた宝です」
〜騎士はまどろむ夢の中にいた。ゆらゆらと揺れる風に導かれて、ゆっくりと目を開く〜
「水の国は、食べ物に恵まれた町で、人々はみな豊かな暮らしをしておりました
豊かな暮らしをしていながら、王様はとても貪欲でした
色々なものを楽しみつくし、王様は食べ物と女に飽きてしまいました
王宮には男の召使いを揃えていました
しかし、王様の新しい物好きはとても酷く、国中を知り尽くした王様は、外の世界に興味を持ちました
そして王様は言いました、
『我の見たことのないものをもってきたものには、一生分の財宝と、好きな願いを一つ、かなえてやる』
国中の若者が名乗りをあげました。あるものは東に、あるものは北に…
そして一人の騎士は、南へと向かったのです
騎士もまた、水の国の日常に飽き飽きとしていました
平和な毎日には、もう剣も必要ありません
『私には、存在価値が無い……』
磨き抜かれた剣の腕も、さびついていく一方です
騎士は、戦いを欲していました
宝は、本当はどうでもよかったのです
『かーえーるーのーうーたーがー』
「王女はいつものように、広い部屋で、一人ぼっちで歌っていました
カエルの歌は、この地域で信仰されている『アメフラシ』を童謡にしたものです
王女は窓の外を見ています。外では同じ歌を、子供たちが輪になって歌っていました
ここで歌っていると、自分もみんなと一緒に遊んでいるような気がするからです
王女は、一人ぼっちだったのです
砂の国では、『風の盗賊』が暴れていました
彼らは、砂嵐に紛れて物を盗み、風のように去ってしまいます
国民は、みんな困っていました
王女も困っていました
なぜなら、王女が外へ出られないのも『風の盗賊』のせいだからです
『風の盗賊』が盗んだせいで、砂の国では水が足りず、争いが絶えませんでした
王女は毎日召使いにお願いをします
『お願い、外へ出して』
王女は外で友達と遊びたくて仕方がありませんでした。
召使いは、困った顔をして、部屋の扉を固くしめてしまいます
王女の願いは、聞いてくれたためしがありません
王女は今日も、一人ぼっちです
水の国から南へと向かった騎士は、砂漠で迷っていました
サラサラと流れる砂は水のようですが、ここには水が一滴もありません
草木もはえず、どこを見渡しても砂の山で、騎士はとても困っていました
その時、遠くで何かが動くのが見えました
砂嵐です
砂嵐を見たことが無い騎士は、それを無我夢中で追いかけます
すると、騎士は大きな町にたどり着きました
砂嵐が町を襲い、人々を吹き飛ばしてゆきます
けれど重い鎧をつけた騎士は吹き飛ばされませんでした
その大きな剣を一振りすると、砂嵐は消えて、中から男たちがあらわれました『風の盗賊』です
騎士にかなうものは、水の国にもいません
襲いかかってくる男たちを、騎士は全て懲らしめました
砂の国の人たちは大喜びでそのことを王様に伝えました
王様も喜んで、その晩大きな宴が開かれました
王様は騎士を褒めて、残りの『風の盗賊』を退治してくれるように頼みました
盗賊はとても強かったので、騎士もまた戦いたいと思っていました
騎士は王様の頼みを聞いて、砂の国を守ることになりました
王女は夜中に目が覚めました。外がとてもうるさかったからです
本当は夜中に起きていてはいけないのですが、王女はそっと窓から外をのぞきました
松明をかこんで、大人たちが楽しそうに笑ってお酒を飲んでいます
その真ん中に、見慣れない鎧を体につけた女の人がいました
王女はその女の人がとても気になりました
この国では女の人は戦いません
あんなに強く鋭いまなざしを、王女は初めて見たのです
翌朝、王女は王様に相談しました
『あの女の人に会いたいの』
王様は、少し考えた後、
「あの人なら」と王女に騎士を会わせることにしました
でも王女はとても嬉しそうでした
王女は王宮の人間以外とあったことがほとんどありません
王女にとって、騎士は初めての友達です
しかし、騎士は王女とあまり話してくれません
騎士は、王女のことなどどうでもいいようです
王女は自分の国のことを、知ってることをたくさん話しました
騎士は自分のことを一つも話してくれませんでしたが
自分のことを王女として扱わない騎士が、とても気に入りました
それから何日かの間、『風の騎士』は町を襲いましたが
全て騎士がこらしめました
騎士「ちょろいわね」
しかしある日、騎士は砂の国から出ていくといいます
「砂の国中が大騒ぎでした
騎士がいなくなれば、また砂の国は『風の盗賊』に襲われてしまいます
国中を追いかけられて、騎士は王女の部屋へ逃げ込みます
王女は、騎士に聞きました
『なぜ、砂の国を出て行ってしまうのかと』
すると騎士は答えました
『戦うことに飽きてしまった』
騎士は言いました
『どこにいってもお自分より強い者がいないのです』
王女は言いました
『では、この国で暮らしましょう、私と一緒に』
騎士は断りました。騎士は戦いの代わりになる刺激を求めていました
そのために騎士は、旅を続けると言います
王女は不思議に思いました
『私たちの国では、食べ物と水があれば幸せです
あなたの幸せは、いつ見つかるのでしょうか?』
騎士は、少し考えて言いました
『食べ物と水があれば、人はもっと色々なものを欲しがる』
しかし王女は力強く言い返します
『それは違います』
王女は、窓を指さしました
『「私は、あそこから皆を毎日みていました』
王女は、誰よりも砂の国の人々を知っていました
『本当に大事なものは、探さなければ見つからないものじゃありません
この国の人たちは、それを知っているから、食糧と水があれば幸せなんです』
騎士は少し肩をいからせて言いました
『私の国にはあらゆるものがある
それだけのものがあるのに、誰も見つけられなかった』
『あなたの国には、きっとないのでしょう』
王女は言いました
騎士は怒りだします
『では、それは何なのか。見せてみよ』
王女は首を振りました
『見せたり、触れたり、できるものではありません』
(老師「心じゃよ!」王女「なぜ出てきたし」)
『言葉にするのも、私にはできません
でも、感じることはできます』
そう言って王女は、騎士の手甲をそっと外しました
騎士は怪訝な顔をして王女を見つめています
王女は、そっと手のひらを騎士の手のひらの上に重ねました
決して触れていないのに、騎士には王女の体温を感じることができました
しかし、騎士は理解できませんでした
王女「フォースの力よ」
騎士は王女の手を振り払いました
『あなたのなかにもあります。あなたはそれから逃げているだけです』
『一体何から逃げているというんだ』
『あなたは欲しいものが見つからなければ、他の場所へ
また他の場所へと移動し
色々なモノを見つけては捨てています』
『見つからなくても、他の場所へいけばいい』
『そうやって逃げているんです
私には、逃げ場がありません
この部屋を歩きまわるので精いっぱいです
けれど、
だからこそ、見つけられるものもあります
逃げてはいけません。向き合ってください』
『ふざけるな!』
騎士を見つけた城内の兵士や召使いが、口々に騎士を呼びとめ、
追いかけます
城内は混乱し、誰も部屋を飛び出した王女には気付きませんでした
「騎士は北側の砂漠にたどり着きました
騎士は人々を振り切り、国を後にしようとしました
『戦いではなくても、きっと新しい何かがあるはずだ』
騎士はそう考えていましたが、
表情は暗いままでした
騎士は焦っていました
戦うことに飽きてしまった騎士は、自分の剣を見つめました
今まで敵しか見てこなかった騎士には、使い慣れた剣も
剣をゆっくりと見る時間もありませんでした
久しぶりに脱いだ手甲から感じた温もりは
とても新鮮でした
騎士は、迷いを振り切るように歩き出しました
しかし、そこに息を切らした王女がかけつけます
騎士は無視できませんでした
今の騎士にとって、王女はとても大きく見えました
感じたことのない温もり…
『ここに残りなさい』
王女は、きっぱりと言いました
騎士は言いました
『お前の言うとおりだ
私の幸せは、いくら探したとて見つかるわけではないかもしれない
けれどな
私には感じることはできない
お前のように、もう幸せを見つけた人間とは違うんだ
お前のように何の欲望も願いもなく、純粋に生きることはできない』
姫 そりゃ私にだって・・・欲しいモノや女の欲望はあるわよ//
その時、怒号が聞こえ始めました
北側から、水の国の若者が押し寄せて来たのです
数日の間に、砂の国の噂は水の国まで届いていました
『アメフラシの鎧』、それが水の国の王様の欲しがる、砂の国の宝ものでした
水の国の軍隊は、まるで津波のように押し寄せて来ます
水の軍隊の旗印は 絵茶の紋 負けを知らない猛者揃い・・・
押し寄せる若者を見て、騎士は微笑みました
『これで自分はまた戦いの中に逃げることができる』
騎士は、吸い込まれるように歩き出しました
そして王女にいいました
『お前から色々教えてもらった
恩返しに、あいつらからここを守ってやる
じゃあな』
『あります』
王女は言いました
『私にも、望みはあります
それは
あなたと友達になりたい』
騎士は呆気に取られました
『それが、お前の望みか?』
騎士には全く理解できませんでした。なぜ自分といることが一番大切なことなのか
力強く頷く少女に、騎士はどうしても聞いてみたいことがありました
騎士は剣を置きました
『もし』
武器を持った大勢の人間に背を向けて、騎士は尋ねました
騎士は全く彼らを気にする様子はありません
『私がお前と友達になったら、お前はどうするんだ?次に何をするんだ?』
王女は一瞬困ったような顔をしました
『まず、一緒にお話をして
お買い物に行きたいです』
王女は、言葉を紡ぐたびに、嬉しそうな表情に変って行きました
そして、王女のやりたいことは次から次へと
一向に止まりません
騎士はそれを止めていいました
『なぜ、なぜ私でないといけないんだ』
『だから』
王女は騎士の手甲を再び脱がせて、手をかざします
『もう言葉にはならないんです
あなたでないといけないんです
感じて下さい、手のひらで』
ただ、真剣に、目を閉じて温もりを感じます
目を開けた騎士は言いました
『ごめん、やはり私にはわからないよ
でもそんなにお前が言うなら
もう少し頑張ってみる……かな』
騎士は剣を取り、手甲をはめなおしました
今度は力強く、砂漠へ踏み出します
王女が止めようとする手を、優しくどけていいました
『心配するな
どちらにせよ、戦わなくてはいけない
けど、今度はここと、お前を守るために戦うよ』
騎士の戦いはとても大変でした
軍勢をあいてに、何かを守る難しさ
しかし、守るものがあった騎士は
世界で一番強い騎士となりました
水の国からやってきた軍勢は、一人残らず騎士によって退散させられました
〜赤色の乾きし大地に生を受け全ての涙を知るものありけり
涙の全てを知るがゆえ陽のすべてを知る無より得し深き愛〜その後、砂の国には平和が訪れました
砂の国の王は騎士に国宝『アメフラシ』の鎧を
そして騎士は二人で市場で買った冠を王女に渡しました
砂の国では騎士を『女神』として祀り
騎士は命ある限り、王女と砂の国を守ることを誓いました
〜fin〜
くれじっと
作者 GGさん (ニコリさん co618470のオーナー)
挿入詩 GASさん
ちりばめられた小ネタ コミュのみなさん
挿絵 わたくし(予定)
…と書きましたが、やっぱりみんなでつくりましょうってことで
クレジット 濃い絵を描く放送のみなさん
でもありますよ
執事「うおろろろーん!」
執事「この感動を薄い本にぶつけて、金に換金せねば」
執事「わっ、わわわたしはこの金貨で砂の国を豊かにとととと」
<その他設定>
王様ってホ/もらしいですぞ
そして現れる悪魔の使者、風の盗賊